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労働法解釈 解雇①
社会保険労務士の藤武です。
労働法という言葉は存在しませんが、労働に関する法令を総称して労働法とよぶことが多く、その法令は多岐にわたります。
ここでは、その労働法の中で通常定義され、一般的に実務に直結するものの中で非常に経営に影響が大きいものを取り上げ、それを多方面から解釈していこうと思います。
最初のテーマは「解雇」。解雇とはどのような定義で法的に位置づけられ、解釈、義務などを確認していきます。
まず、解雇とは何か。どのような法的解釈がなされているのかをみていきましょう。
「解雇」とは、使用者からの労働契約の解約を指します。労働とは契約の一種であり、使用者は労働の提供を受ける権利とともに賃金を支払う義務が生じます。
対する労働者は労働を提供する義務があるとともに賃金を受け取る権利を有します。
解雇は、いわゆるその企業を退職する一つの類型です。
退職する類型にはほかに、労働期間の満了、労働者の自己都合退職、定年、労働者の死亡などがあり、特に労働契約期間の満了による退職は解雇ではない点で誤解されることがよくあります。
一般的に解雇は、契約期間に定めがない労働契約において、「使用者が」「解約」するものです。
本来民法では、契約期間に定めがない場合は、当事者がいつでも解約をすることができ、その申し込み後2週間を経過することで雇用は終了するとされています。
ただし、労働者にとっては、その規定のままでは2週間で職を失うこととなり、生活を脅かすことになるため、労働基準法は使用者に30日前に解雇の予告等の義務を課しています。これは労働者保護のための規定です。
このように一般法である民法で規定されていることを補完する法律を特別法と呼び、特別法が存在する場合は、一般法よりも特別法を優先することになっています。
労働基準法は、民法の特別法であり、労働者保護を目的として存在することを理解したいところです。
次回は「使用者が労働者を解雇する権利」についてお伝えいたします。。