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障害者雇用制度における除外率に関する改正
皆さん おはようございます。こんにちは。こんばんは。
社会保険労務士の吉田です。
ようやく夏が終わり、日暮れも早く、涼しくなってきましたね。
こういったときは体調が崩れやすいので体調管理に気を付けましょう!
さて、今日は表題の件についてご説明いたします!
2025年の4月から障害者雇用義務制度における除外率に関する改正がありました。
そもそも除外率制度とは・・・?
従業員数が一定以上の規模の事業者は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を法定雇用率以上にする義務を負います。令和7年5月現在、法定雇用率は2.5%と定められているので、かかる義務の対象事業者は従業員数40人以上の事業者となります。したがって、対象事業者であっても、障害者の就業が一般的に困難であると認められる特定業種については、雇用労働者数を計算する際に、業種ごとに定められた一定率に相当する労働者数を控除することが認められており、これを「除外率制度」と呼びます。
改正の背景としては、除外率制度は、ノーマライゼーション(障害のある人が障害のない人と同等に生活し、共生できる社会を目指すという理念)の観点から、平成14年障害者雇用促進法改正により廃止されましたが、激変緩和の経過措置として、当分の間、除外率制度を存置させ、廃止に向けて段階的に除外率を引き下げていくこととされました。そのため、同じ従業員数の会社であっても、除外率制度の適用がある業種であるか否かによって、雇用すべき障害者の人数が変動しうるので、除外率制度は事業者の障害者雇用義務を軽減するものとみることができます。
2、改正のポイント
(1) 除外率の引下げ
現行で設定されている各業種の除外率を一律10%引下げ
例)建設業・鉄鋼業:20% → 10%
道路旅客運送業・小学校:55% → 45%
(2) 除外率10%以下の業種は廃止
例)非鉄金属製造業(非鉄金属第一次精製業を除く)、倉庫業、船舶製造・修理業、船用機関製造業etc..
改正時点で既に除外率が10%以下の業種は、制度対象外となり除外率制度自体がなくなるため、 実質的に障害者雇用義務の負担が増加することになります。
3、障害者雇用納付金・障害者雇用調整金・報奨金
常用労働者が100人を超える事業主は、障害者法定雇用率が達成されなかった場合、不足する障害者数に応じて1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納付しなければなりません。例えば、常用労働者が1,000人の企業の場合、25人(1,000人×2.5%)の障害者雇用が必要でありますが、障害者雇用者数が20人であった場合、不足する障害者数は5人(25人-20人)なります。そのため、月額5万円×5人=月額25万円の納付金を納める必要があります。
反対に、常用労働者が100人を超える事業主で、障害者法定雇用率を超えて雇用している場合に、その超えた障害者の人数に応じて1人当たり月額29,000円の障害者雇用調整金が支給されます。ただし、障害者法定雇用率を超えて雇用している人数が年間120人を超える場合は、超過人数への支給額が、1人当たり月額23,000円となります。
今回の除外率引下げにより、従前においては雇用すべき人数の障害者を雇用していた事業者であっても、法定雇用率に達していない状態となっている可能性があります。
さらには、令和8年7月以降は障害者法定雇用率自体が2.5%(令和7年5月時点)から2.7%へ引き上げられるほか、これに伴い、障害者雇用率制度の対象事業者の範囲も従業員数40.0人以上(令和7年5月時点)から37.5人以上へ拡大されますので、併せて注意が必要です。
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