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最低賃金、過去最大の引上げ!(助成金の活用を)
皆さま、こんにちは。社会保険労務士法人アシストの西村です。
暑い日々が続きますね・・・
水分補給をしっかりして熱中症対策を心掛けてくださいね。
さて、今回のコラムでは「最低賃金」について取り上げます。
毎年引き上げられている最低賃金ですが、今年度は過去最大の引上げ幅となる見込みです。
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、令和7年度から適用される地域別最低賃金額(以下単に「最低賃金」といいます。)を
全国平均【1,118円】(時間額)、
前年度から【63円アップ】する旨
答申しました。
この引上げ幅は過去最大となります!
物価上昇が長期的に続いており、それに対応するためにも賃金アップは不可欠と言えます。
国として最低賃金を大幅に引き上げることにより、企業にさらなる賃上げを求めています。
なお、具体的な引上げ幅と、発効時期(いつから引き上げるか)は都道府県により異なります。
一例をあげますと・・・
東京都 1,163円➡1,226円 (10月3日発効予定)
大阪府 1,114円➡1,177円 (10月16日発効予定)
兵庫県 1,052円➡1,116円 (10月4日発効予定)
などとなっています。
さて、最低賃金の引上げは労働者にとっては嬉しい半面、
企業にとっては負担が大きくなるのは事実です。
せっかく賃上げされても、企業の体力が持たなければ意味がありませんよね・・・
それに対応するために、企業は生産性向上を図り体力を強化することが必要となります。
そのために活用できるのが「業務改善助成金」です!
従業員の働き方改善のための設備投資等に必要な費用について、
助成金を活用することにより負担軽減できるというものです。
その結果として企業は、最低賃金アップにより賃金が上昇したとしても、
労働時間短縮等による生産性向上によって総人件費を抑えることが可能となります。
なお、「設備投資等」としては、次のようなものが挙げられます。
・勤怠システム、POSシステム、顧客管理システム等の導入
・リフト付き特殊車両の導入
・歯科医院でのチェア増設
・国家資格者による経営コンサルティング
その他、労働者の生産性向上に結び付くものであれば利用できる可能性があります。
業務改善助成金を活用するための流れは、次のようになります。
① 事業内最低賃金(※1)の1時間当たり30円以上引上げを計画
② 設備投資等の計画
③ 交付申請
④ ①に基づき賃金を引き上げる
⑤ 交付決定
⑥ ②に基づき設備投資等を実行
⑦ 助成金の支給申請
という流れになります。
助成額は、設備投資等に要した費用の【4分の3】です(※2)
ただし上限があり、<引上げ人数・引上げ額>により異なります。
たとえば、<引上げ人数2名、引上げ額45円>だとすると、
上限は【110万円】になります。(※3)
上手に使えばとても魅力的な助成金と言えますね!
この助成金活用のポイントとしては、次のような点があります。
・事業内最低賃金の引上げは、最低賃金の引上げ時期前に行うこと
たとえば大阪府のある事業場で、最も賃金の低い従業員の時給が1,150円とします。
その方の時給を30円引き上げることによりこの助成金を活用するとしますね。
大阪府では、最低賃金の1,177円への引上げが【10月16日から】行われる見込みです。
仮に、10月16日以降に引上げをしていない(時給1,150円のまま)となると、
最低賃金に足りないため違法となってしまい、助成金を使うことはできません・・・
したがって、その前日(10月15日)までに事業内最低賃金を引き上げる必要がある、
ということです。
・先に着手してはダメ
設備投資等を早くやりたい!という気持ちはわかります。
ただし、この助成金を活用するためには、前記の流れ⑤「交付決定」を
受けていなければなりません。
もし交付決定を受ける前に、設備の発注をしたり費用を支払ってしまうと、
助成金を受けることができなくなるため注意が必要です。
なお、この助成金は大変人気があり、国の予算が無くなっていまうと
受付が終了してしまいます。
また、交付申請してから交付決定されるまでに数か月要する場合もあります。
もし利用を検討されているようでしたら、1日でも早い対応が必要と言えます。
私ども社労士事務所では、最低賃金に関するご相談対応はもちろん、
業務改善助成金など各種助成金についても取扱いをしております。
ご相談だけでもお受けしますので、お気軽にお知らせくださいね!
※1 事業所内で最も低い賃金のこと。
※2 最低賃金額1,000円以上の場合
※3 事業場規模30人未満の場合