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退職について③

皆さん、こんにちは!

社会保険労務士の吉田です。今年も暖かくなったり、寒くなったりの繰り返しで、来週からはまたさらに暖かくなるとのことで、週の中ごろには4月並みの気温になる地域もあるとのこと。体調管理が難しい時期ですが、気を付けてお過ごしください。

さて、今回は「退職の撤回」について取り上げていきます。

現実には退職の撤回は容易ではありませんが、以下に挙げる退職撤回のチェックポイントに注意しましょう。

【退職撤回のチェックポイント】

①退職届は、退職(一方的解約)の通知か、合意解約の申し込みのいずれの趣旨かを確認する。

②意思表示の瑕疵があれば、無効や取り消しの主張が可能である。なお、意思表示の瑕疵とは、他人からの干渉が入り、完全に自分の自由の判断が出来なかった意思表示のことです。

退職と一口に言ってもいくつか種類があるため、退職の種類によっては撤回が可能なものもありますので、そちらを説明します。

【合意解約】

合意解約とは、労働者と使用者が合意によって労働契約を将来に向けて解約することをいい、実際には「依願退職」といわれるものが、合意解約にあたる場合が多いようです。また、合意退職の場合は、期間の定めの有無に関係なく、一方の当事者の申し込みと他方の当事者の承諾により合意が成立し、合意内容通りに労働契約が終了します。合意解約であれば、会社側の合意が承認されるまでの間であれば、退職の撤回が可能です。

(退職願の撤回)使用者が合意解約の申し込みをし、これに対して労働者が退職届により承諾の意思表示をしたと判断される場合には、合意解約は承諾により成立し、退職届の撤回はできません。退職願の撤回について、裁判例は、合意解約の申し込みである退職願は、使用者の承認の意思表示がなされるまでは、それが信義に反するというような事情が認められない限り、撤回できるとしています。一般的には、退職願が提出され、それを受け取った会社が退職辞令を出すなどして退職を会社が了解したことを労働者に伝えたときに、退職に関する労使の合意が成立すると考えられます。従って、会社の意思表示が労働者になされていない間は、原則として、労働者は退職届を撤回することができることになります。

退職届の提出が合意解約の申し込みであるかぎり、それが信義に反するような場合を除き、「もう受理したからだめだ」というような会社の主張は成立しません。

【解約の告知】

「○月○日をもって退職します」という宣言は、労働者からの退職の意思表示と解されます。この場合は、合意を前提としていません。解約の告知の場合、会社に労働者の意思が到達した以降は、会社は退職の撤回に応じる必要はない、とされています。

【自己都合退職】

退職(自己都合退職、任意退職、辞職)の場合は、労働者の一方的な意思表示により、労働契約終了の効力が発生する点で合意退職と異なります。退職(自己都合退職、任意退職、辞職)の意思表示は、労働者の一方的な意思表示により労働契約を終了させるもので、使用者に到達してしまうと到達時に効力が発生するので、使用者の同意がない限り、撤回できないものとされています。この場合、「真意によらない」意思表示として無効もしくは取り消されることがない限り、労働契約は終了します。

【依願退職】

依願退職の場合には、意思表示の瑕疵を主張して効力を争ったり、労働者が退職願を提出したのち撤回することがしばしば発生します。この場合、労働基準法に規定がないので、民法が適用されます。

【諭旨退職】

懲戒解雇より一段軽い懲戒処分として「諭旨退職」というものがあります。形式的に退職届を出させ、自分から退職した形にするが、実質的には「解雇」を行うというものです。本人の申出という形式をとるため、解雇予告を適用する余地はありません。退職金の支払いについては、自己都合と同額が支払われる場合と、全額不支給や一部不支給とされる場合があります。

【真意によらない退職願の取消・無効】

形式的に労働者から退職願が提出され、労働契約が解約された場合であっても、その退職願の提出が、使用者の有形無形の圧力などにより、労働者がやむを得ず提出したものであれば、退職の意思は真意に基づかないものとして無効または取り消しうることになります。意思表示の瑕疵(心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤、詐欺、強迫)による無効または取消の主張を行うことは可能です。この場合には、意思表示の瑕疵を裏付ける証拠の収集が重要となります。

【退職願の撤回が有効になされた場合】

退職願の撤回が有効になされれば、労働契約は従前通りに継続していることになります。会社が依願退職手続きを進めても、労働者を退職させることはできません。会社が労働契約を解約したいというのであれば、会社から退職の申し込みを改めて行うか、もしくは解雇の意思表示をしなければなりません。なお、会社への退職の意思表示がいつなされたのか、会社の承諾の時期との関係で問題となりますので、注意してください。

最後に一方的な「解約告知」の場合、退職撤回が成立するのは、労働者からの退職願の提出を、しかるべき人事権を持った者が承認するという一連の行為があるからです。労働者側が、一方的に会社の雇用関係を終了させると告知して、会社を辞める場合は、自ら労務提供義務を放棄したと取られ、後日撤回する余地はなくなると考えられます。

次回、「退職について」は最後になります。最後は、退職に伴う諸手続き(健康保険など)、引継ぎの留意点についてお伝えします。


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