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最低賃金、守れてますか?
皆さま、こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
10月になり、暑さも和らぎました。
逆に朝晩は肌寒く感じる日もありますので、体調を崩さないように
気をつける必要がありますね。
さて、今回のブログでは、「最低賃金」について取り上げます。
10月から、すべての都道府県において最低賃金が引き上げられました。
時間当たり39円~47円と、これまで最大の上げ幅です。
昨今の物価高が大きく影響しているようですね。
経営者としては負担が大きくなりますが、優秀な従業員の生活を守る
ために最低賃金をしっかりと守る必要があります。
ただ、最低賃金制度について十分理解されていない方も多いようです。
そこで、今回は、最低賃金に関するクイズを4問ださせていただきます
ので、ぜひ挑戦してください!
【Q1】学生アルバイトは最低賃金を下回っても問題ない。
正解は「✖」
学生アルバイトであっても、高年齢者の再雇用であっても、
労働者であることには変わりはないので、必ず最低賃金を守らなければなりません。
外国人労働者や障がい者についても、差別的に扱うことが無いよう注意が必要です。
【Q2】従業員が希望しているので、最低賃金より安い給与を支払っている。
これも「✖」
たとえば「扶養内で働きたい」といった理由で、最低賃金を下回る給与を希望する
従業員もいるようですが、これは認められません。
最低賃金法は罰則のある「強行法規」であり、従業員が希望したからと言って
その適用を免れることはできないこととなっています。
労働基準監督署から指摘を受けた場合は、過去3年にさかのぼって最低賃金との
差額を支払わなければならなくなりますので、気をつけてください。
【Q3】交通費を含めたら、なんとか最低賃金をクリアできた!
これも「✖」
最低賃金の計算をする際に、その対象とならない賃金として下記のものがあります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、
通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
つまり、交通費(通勤手当)を含めて最低賃金をやっとクリアしたとしても、
それではクリアしたことにはならないのです!
また、いわゆる「固定残業手当」についても、最低賃金の対象からは除かれますので
お間違えないようにしてください。
【Q4】月給制だが、月によって最低賃金を下回ることがある。
こちらは「△」
必ずしも違反しているとは限りません。
最低賃金はもちろん月給制の方も対象ですが、月給がクリアしているかどうかは、
下記により判断します。
月給÷1ヵ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
この「1ヵ月平均所定労働時間」は、年間平均で計算します。
たとえば、年間休日が125日(年間労働240日)、1日8時間労働の事業所の場合は、
「240日×8時間÷12ヵ月」により、1ヵ月平均所定労働時間は160時間となります。
最低賃金が1,000円の県においては、
クリアするため必要な月給は、1,000円×160時間=「160,000円」となりますね。
ただ、月によっては、暦の関係で160時間よりも労働時間が多くなる場合もあります。
その月だけを見ると、最低賃金を下回っているので大丈夫なのか?
と心配になりますが、そこは問題ありません。
つまり、年間平均でクリアできているのであれば、ある月だけ下回ったとしても
問題はない、ということです。
いかがでしたでしょうか?
最低賃金についての理解は、雇う側、働く側いずれも必要ですが、
まだまだ理解されていないといえますね。
いま一度、最低賃金について考えてはいかがでしょうか。
私ども社労士は、最低賃金についての適切なアドバイスも行っています。
是非お気軽にお声がけくださいね!