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有給休暇の買い上げ
皆さん、こんにちは!
社会保険労務士の吉田幸司です。
最近は本当に早朝や晩も日中と変わらず気温が高く、春と秋が消えて「四季」が「二季」になるのではないかといわれるくらいの暑さで大変な中で毎日を過ごしておられると思いますが、体調管理には気を付けて過ごしましょう。
さて、今回はタイトルにあるように有給休暇の買い上げについて取り上げます。
お客様からはこんなお声を頂戴することがあります。
「今度退職する従業員のことで、有給休暇を全部消化できないから残りを買いあげしようと思うんですが、これって大丈夫ですか?」
結論から申し上げますと、原則として有給休暇の買い上げは禁止です。
そもそも有給休暇の買い上げとは、有給休暇の全部または一部を取得せずに残した場合にその部分を使用者が対価を支払って消滅させることを「買い上げ」と言います。
ただし、法定で付与した日数の買い上げは禁止ですが、付与した日数を超える付与日数の買い上げは「就業規則」や「労使協定」で定めておけば違法ではありません。
それでは、買い上げが許される場合とはどのような場合でしょうか?
(1)法律の規定を上回って付与している日数の有給休暇
(2)時効となる有給休暇
(3)退職によって無効となる有給休暇
例えば、労働者の退職によって権利が消滅するような場合に残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは、事前の買い上げと異なるものになるため、必ずしも法律に違反するものではありません。
最後に、有給休暇の買い上げを実施した場合の給与の取り扱いはどうなるのでしょうか?
会社が社員の有給休暇の残りの日数を買い上げた場合、金銭の如何に係わらず給与所得にあたります。定期的な給与の支払いとして支払われるときは、源泉徴収税額の月額表から所定の金額を控除します。一時金として支払うときは、源泉徴収税額の賞与の税額算出率表から所定の金額を控除することとなります。
また、有給休暇買い上げが給与とされる以上、社会保険料・労働保険料の算定にあたっては、賃金給与として算定の基礎となりますので、注意が必要です。