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元従業員からクレームが届いた!
皆さまこんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
多くの地域で梅雨に入ったようです・・・
これからジメジメした日が多くなると思いますが、
せめて気持ちだけはスッキリ青空で行きたいものですね!
さて、人事労務に役立つ(はず)のこのコラム、
今回は、
「退職した元従業員から会社にクレームが届いた」
というお話を紹介します。
「市役所から突然、多額の住民税を請求された」というのです!
この原因が退職した会社にあるということで、
元従業員はかなりお怒りのようです。
なぜこういう事態が発生したのか、ご説明していきます。
(わかりやすくするために対象を「会社員」に限定します。)
まず、会社員の住民税は、毎月のお給料から会社が天引きし、
会社が市町村に納めています。
これを「特別徴収」といいます。
つまり、会社員は、「在職中」は住民税は会社に任せておけばよく、
住民税についてあまり気にする必要はありません。
さて、問題となるのが「退職後」です。
会社員が退職すると、会社としては天引きをやめる必要があるため、
役所に対して手続きをする必要があります。
これが「異動届出書の提出」です。
なお、退職後の住民税は、原則として、
①転職先で継続して天引きしてもらう(特別徴収継続)か、
②本人に直接市町村に納付してもらう(普通徴収への切替)か、
どちらかとなります。
X社の会社員だったAさんは、令和4年度の住民税の年額が
12万円でした。
Aさんは令和4年6月をもって、残念ながらX社を
退職しました。
なお、X社のお給料は翌月払いです。
また、住民税は6月から翌年5月に支払われるお給料から、
毎月1万円ずつ天引きされることになっていました。
Aさんについては、4年6月と7月に支払われたお給料から、
それぞれ1万円天引きされたので、2万円は納付済みです。
ただし、残り10万円はまだ納付されていないので、
X社が異動届出書を提出したうえで、
転職先で引き続き天引きしてもらうか、
Aさん自ら役所に納付する必要がありました。
ここまでは問題ありませんね。
ところが、X社の担当者は、Aさんの異動届出書を役所に
提出するのを失念していたのです・・・
令和6年3月頃になってそのことに気づき、あわてて役所に
異動届出書を提出しました。
そのため、役所はその時点で初めて、
Aさんに未納額の10万円の納付を求めたのです!
Aさんとしては、青天の霹靂です!
当然X社がきちんと手続きをしてくれていると思っており、
突然高額の請求が来たので驚いたのです。
また、急な高額の出費となり、金策に大変苦労されました。
これではAさんが怒るのは当然です・・・
X社としては、Aさんに平身低頭で謝罪し、
なんとか許してもらうことができましたが、
担当者には大変な心労がかかったそうです。
X社はAさんの退職時に、社会保険や雇用保険の脱退手続きや、
源泉徴収票の発行などは専門家に依頼していたのですが、
異動届出書については依頼するのが漏れていたそうです。
その後X社は、異動届出書の手続きについても専門家に依頼し、
このようなミスはなくなったそうです。
いかがでしょうか。
今いる従業員を大切にすることはもちろんですが、
元従業員からこのようなクレームが来るようなことも
避けなければいけません。
会社の評判が傷つきますし、昨今はSNSで悪評は簡単に
拡げられる時代です。
今一度、会社がすべきたくさんの手続きがきちんと把握
できているか見直しをする必要があるかもしれませんね。
不安があれば、私ども社会保険労務士を含め、専門家に
お早目に相談しておいたほうがいいでしょう。
皆さまからのご相談をお待ちしています!