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痛い!年末調整のやり直し
皆様こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
私の居住する兵庫県南部では、およそ10年ぶりの大雪に見舞われました。
普段雪には慣れていない地域なので、交通機関のマヒ等により
住民は大変な苦労を強いられました。
冬場にはこのような思わぬ荒天が訪れることがあるのを再認識しました。
厳冬はまだまだ続きます。しっかりした備えの必要性を痛感しました。
さて、今回は「年末調整」について取り上げます。
個人の所得税の額は、1年間(1月~12月)の所得に応じて決まります。
ただし、1年分の所得税をまとめて納めるとなると、お金の工面等
いろいろ問題がありますよね。
そのため、「源泉徴収制度」が設けられています。
これにより、企業が支払う毎月の給与から、およその税額をあらかじめ
控除しておき、年末に正確な所得税額を計算し、過不足を調整することに
なっています。
これが年末調整であり、これにより、納税時期に慌てて納税額を
用意しなければならないようなことを防いでいます。
毎月控除するおよその税のことを「源泉所得税」といい、この額は、
扶養親族等(一定の配偶者や子、親など)の人数に応じて決まります。
たとえば、社会保険料を差し引いた給与額が毎月25万円の方を例にします。
この方の源泉所得税額は、扶養親族等の数に応じて下記の通りとなります。
扶養親族等の数 | 源泉所得税額(月額) |
0人 | 6,530円 |
1人 | 4,920円 |
2人 | 3,300円 |
3人 | 1,680円 |
4人以上 | 0円 |
同じ給与額であっても、扶養親族等の人数により毎月の手取りが
かなり変わりますね。
年末調整時にはこれが12ヵ月分貯まっていることになります。
ところで、年末調整をする際には、その年度の12月31日時点での
扶養親族等の状況に応じて所得税を計算することとなります。
年末調整の際は、毎年1月~12月に支給された給与額や社会保険料等に
基づいて算出された所得税額と、1年間で控除した源泉所得税の
合計額を比較し、源泉所得税額のほうが多ければ差額を
還付することとなります。
通常は、還付されるケースの方が多いので、ある意味ちょっとした
年末ボーナス的に考えている方も多いのではないでしょうか。
さて、「還付が多くてラッキー!」と思っていた方が、後々
がっくりすることがあります。
たとえば、お子さんが就職したことにより扶養親族ではなくなって
いたのに、それを会社に伝えるのを忘れていたことに年末調整後に
気づくようなケースです。
この場合は、扶養親族等の数が減ったことにより、本来増える
はずだった源泉所得税が、低い額で控除されていたこととなります。
また、年末に計算する所得税額についても、扶養親族等の数が減れば
税額は高くなります。
このような場合は、一度行われた年末調整をやり直す必要があります。
その結果、せっかく還付された額を返還する必要が生じたり、
場合によっては追徴が発生する場合もあります。
年明け早々、数万円の返還・追徴を余儀なくされることもあり、
従業員にとってはかなり痛い出費となりますね。
このようなことの無いように、企業としては、従業員には扶養親族の
変更があれば速やかに会社に伝えるよう徹底する必要があります。
今回は「年末調整」について取り上げました。次回もぜひご期待ください。