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全企業待ったなし!パワハラ防止措置が義務化されました!
皆様こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
短い梅雨も明け、これから本格的な夏がスタートします。
感染予防に気をつけつつ、楽しく過ごしたいものですね。
さて、今回は、「パワーハラスメント」(以下パワハラと略します。)を取り上げます。
今年4月より、「職場におけるパワハラ防止措置」が全企業に義務化されたのをご存じでしょうか。
労働者が安心して働くことができるよう、パワハラ防止措置を企業の義務とする法律が2020年6月に施行されましたが、これまでは大企業のみが義務化の対象でした。
この度、義務化の対象が中小企業に拡大され、1人でも労働者を雇用する事業主は、必ずパワハラ防止措置をとらなければならなくなったのです!
皆さまには、この機会に、簡単にパワハラと、パワハラ防止措置について学んでいただければと思います。
まず、パワハラとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
と定義されています。
①については、「上司や先輩など、職務上の地位が上位の者による言動」が該当します。
ただし、同僚や部下の言動についても、一定の場合にはパワハラに該当する場合があります。
決して上位の者の言動に限定されないことに注意が必要ですね。
②については、「社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの」とされています。
たとえば、「業務上明らかに必要性のない言動」や、「業務を遂行するための手段として不適当な言動」などがこれに該当します。
具体的には、人格否定するような言動などが該当しますね。
③については、「当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること」とされています。
なお、パワハラの典型的な類型としては、
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
などが挙げられています。
パワハラの現状ですが、過去3年間での勤務先でパワハラを一度以上経験した者の割合は、31.4%もいるそうです。およそ3人に1人が経験しており、かなり多いと言えるのではないでしょうか。
一方、企業の対応は遅れ気味のようです。パワハラがあることを知った勤務先の対応としては、「特に何もしなかった」(47.1%)というのが最も多くなっています。
企業が積極的に対応することを促進するために、今回の措置が義務化されたと言えます。
(いずれも令和2年度厚生労働省委託調査による)
パワハラは多くの人を不幸にします。
被害者は、精神的・肉体的な悪影響を受け、また労働に不利な影響を受けます。その結果、休職や退職につながり、ひいては深刻な後遺症が残ることもあります。
一方、加害者は、職場における信用が失墜し、あるいは懲戒処分の対象となったり、被害者からの訴訟リスクを抱えることとなります。
さらに、パワハラが発生した企業では、意欲や生産性が低下し、職場秩序が乱れやすく、企業イメージの低下や人材が流出する傾向があります。その結果、経済的な損失も大きくなります。
パワハラが発生して、誰も幸せになることはありません。パワハラをこの世から無くしましょう!
この度義務化された防止措置では、具体的には事業主に
● 事業主の方針等の明確化および周知・啓発(就業規則への規定等)
● 相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備(相談窓口の設置等)
● 職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応(再発防止措置等)
● 併せて講ずべき措置(相談したことを理由とした不利益取扱いの禁止等)
が求められています。
まだ防止措置をとられていない事業主さんは、この機会に検討してはいかがでしょうか。
なお、パワハラは防止すべきですが、決して部下への注意や指導を控えさせるものではないことにはご留意ください。
前記①②③の定義に該当しないものは、原則としてパワハラとは認められません。
パワハラと認定されることをあまりに恐れ、適切な人材育成ができないようなことがあってはなりません。パワハラについてしっかり理解することで、事業主さんも自信をもって頂けるのではないでしょうか。
私ども社会保険労務士は、パワハラ対策をはじめ、企業がコンプライアンスを重視し働きやすい職場を作るためのご支援をしております。
ぜひお気軽にご相談ください!