法改正
副業・兼業についての労働法のあり方②
みなさんこんにちは社労士の藤武です。
少し間が空いてしまいましたが、労働基準法及び労災法における、副業や兼業をしている労働者についての改正の続きです。
前回は労働時間の通算について記載しました。
今回は簡便な労働時間の方法について解説をします。
例えば、副業・兼業の日数が多い場合や、2以上の事業場において所定外労働がある場合等においては、労働時間の申 告等や通算管理において、労使双方に手続上の負担が伴います。
つまり労働者からの申告等を前提に、企業は労働時間を通算する義務が生じ、当該労働者の労働時間を通算し、時間外労働が発生した場合に、残業代の払いが発生することになります。
もちろん簡便的な以下の方法であっても負担は伴いますが、原則的な手順よりも文字通り簡便です。
簡便的な管理方法は以下の手順によります。
①複数労働企業(X社及びY社。X社が時間的に先に契約しているケース)の労働時間の上限を設定する。
X社の1か月の「法定外労働時間』とY社の1か月の「労働時間(所定労働時間と所定外労働時間)」とを合計した時間数を単月100時間未満、複数月平均 80 時間以内とし、それぞれの事業場にお ける労働時間の上限をそれぞれ取り決めておく。
② それぞれの企業が時間外労働の割増賃金の支払いをする。
X社は自社における「法定外労働時間」の労働について、Y社は「労働時間」の労働について、それぞれ割増賃金 を支払う。
したがって、Y社は当初からすべての労働時間を割増賃金の支払い前提で設定することになります。
これにより、それぞれの月に、実際の労働時間の把握・通知などをせずとも、長時間労働を抑制する単月100時間未満、複数月平均 80 時間以内をクリアしつつ、時間外労働での割増賃金の支払い漏れをなくすことができるというものです。
実際にはここでいうY社(後から契約をした企業)は、当初より割増賃金ベースで当該労働者と契約をしなければなりませんので、やや人件費の負担が増えてしまうことになりますので、なかなか理解はしてもらえないとは推察します。
次回は、労災の取り扱いについてお伝えします。
藤武雅之