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法改正

副業・兼業についての労働法のあり方①

みなさんこんにちは社労士の藤武です。

令和2年度中になりましたが、労働基準法及び労災法において、副業や兼業をしている労働者についての改正が行われています。

我が国の労働の特徴はご存知のとおり、長年終身雇用が前提になっていた就労であったところ、平成の時代から労働関係が大きく変容してきました。
法律的にもその多様化した労働関係に対応する形で改正が行われてきましたが、令和2年9月に労働基準法で副業・兼用に関するガイドラインが、労災法では労災給付において大きな改正が行われました。

これらを数回に分けて紹介していきます。

ではまず労働基準法からです。

労働基準法では「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改正されています。
もともと平成30年に作成されたガイドラインですが、3年ぶりに改正を行った形です。
この改正では、企業も労働者も安心して副業・兼業を行うことができるようルールを明確にしています。

労働基準法では、第38条にて「労働時間は事業場を異にする場合においても、労働に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。
つまり、労働者を基準にしてその労働者が1日に何時間働いたのかということをみるわけです。
その際に、労働している企業が2社あった場合に、それぞれの企業はその労働者の労働時間を管理する義務が生ずるわけですが、これまでやや曖昧な運用をされていたところ、明確にガイドラインが定められました。

・労働時間の通算について
まずその労働時間の通算ですが、2社で働く労働者の労働時間を企業はどうやって把握するのでしょうか?
これは労働者からの申告等がなければ把握することはできません。
したがって、労働者からの申告等がなければ、企業は労働時間を通算することなどの義務は生じません。
そして、その通算の方法は大きく2方向からの確認が必要になります。
通算という意味がわかりにくいと思いますが、つまりは、時間外労働が発生した場合に、誰が残業代を払うのかと考えていただければ結構です。
(1)雇用契約時点での通算
雇用契約の時点で、通算した場合に1日8時間を超えるケースがあり得ます。
その場合は通常8時間を超えた労働をさせた場合は割増賃金が発生する残業代を支払う義務が生じますが、その支払い義務は、契約を後に行った企業です。
例えば、A社が14時から19時までの5時間労働での契約を先に行なっており、その後B社と8時から12時までの4時間の契約を行った場合、後から契約したB社が11時から12時までの1時間について、
残業代を支払う契約を行う必要があります。
契約時点では、1日の労働時間順での時間外労働の考え方ではないことに注意が必要です。
(2)実際の労働を行う過程での通算
(1)とは異なり、実際の労働を行っていく過程では、労働時間順に時間外労働が発生することになります。この点は要注意です。
一番わかりやすい例は、2社が契約した時点で、1日の労働時間が8時間を超えないケースです。
例えば、午前にA社と午後にB社がともに3時間労働の契約を行い、合計6時間労働であった場合に、午前中にA社が3時間労働ののち2時間の残業をさせていたケースで、午後にB社にて3時間ののち
残業をさせた場合は、即時に割増賃金の発生する残業代を支払う必要が出てきます。これはA社、B社が契約の後先は関係ないことになります。
ただし、同じケースでA社が3時間労働の後に3時間の残業をさせた場合は、最後の1時間は割増賃金の発生する残業代の支払いが必要になります。
不思議に思われるかもしれませんが、これはあくまでも労働者の申告があった前提です。つまり、午後にB社にて3時間の労働があることをA社は周知しているわけですから、自社においては、2時間を
超えて残業をさせた場合は、そこからは割増賃金が発生する残業代を支払わなければならないということになります。

まずは労働時間の通算について記載しました。

次回は簡便な労働時間の方法について解説をします。

藤武


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