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労働者派遣法の改正について
皆さん、こんにちは。
社会保険労務士の高橋です。
今年の4月からの法改正により各企業では様々な対応が求められますが、今回はその中から労働者派遣法の改正を取り上げます。
2021年4月から施行された労働者派遣法の改正内容は大きく分けて2点あります。
まず1点目ですが、
◆雇用安定措置についての意見聴取と派遣元台帳への記載が義務化されました。
派遣元事業主は、個人単位の期間制限(同じ組織単位で3年)に達する見込みの派遣労働者を対象に、雇用安定措置について意見聴取を行い、聴取した内容を派遣元管理台帳に記載することが義務化されました。改正前は日時、内容のみ記載でOKでした。
ちなみに、雇用安定措置とは以下の4項目を指します。
①派遣先への直接雇用の依頼
②新たな派遣先の紹介
③派遣会社での無期雇用(派遣労働者以外として)
④新たな就業機会が見つかるまでの間の有給での教育訓練
雇用安定措置に関する意見聴取が義務付けられる時期は通算契約期間が3年になった時点です。
例えば、1年契約で2回目の更新をしたときが該当します。
なお、雇用安定措置については①を原則としたうえで、その実施が難しい場合は②~④を検討するというルールそのものに改正はありません。
続いて2点目ですが、
◆マージン率等のインターネット公開が義務化されました。
公表の内容については以下の項目が該当します。
① 派遣労働者の数
② 派遣先の数
③ 派遣料金の平均額
④ 派遣労働者の賃金の平均額
⑤ マージン率
⑥ 労使協定を締結しているか否かの別等
⑦ 派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項(教育訓練計画)
補足ですが、派遣労働者の賃金は「労使協定方式」もしくは「派遣先均等均衡方式」のどちらかの方式により決定することになります。簡単にいうと、派遣先の従業員と待遇を比較する「均等均衡方式」、同じ地域の同種の業務に従事する従業員(一般賃金水準)と待遇を比較する「労使協定方式」となります。
上記の労使協定は、派遣労働者の賃金を決定する際に「労使協定方式」を選択した場合の労使協定をいいます。
この労使協定では、厚生労働省から公表されている一般賃金と比較して、一般賃金を下回っているうであれば賃金の直しを行い、労使協定の再締結が必要となります。
厚生労働省発表の一般賃金データはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html#h2
また、上回っている場合でも、その旨を記載した書面を労使協定に添付する必要があります。
社会保険労務士法人アシストでは、労働者派遣事業に関するサポートも行っています。
法改正に対応できていない場合は早急にご対応ください。ご不明な点があればお問合せください。
社会保険労務士 高橋 尚文