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こんなときどうする!?⑭「残業代は1分単位で払わないといけないの!?」
皆様、こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
寒さも幾分和らぎ、いよいよ春の訪れを感じられるようになりました。
朝晩は必要なコートも昼間は逆に邪魔になり、着るモノが悩ましい
季節でもありますね。
こういう時期には風邪などひきやすいので、まずは体調を万全に、
コロナ感染予防にも気をつけながら過ごしましょう。
さて、私のほうでは、
「こんなときどうする?」をテーマに、
タイムリーな話題についてわかりやすく問答方式で解説しております。
今回は「残業代は1分単位で払わないといけないの!?」です。
ある居酒屋を経営する企業の社長と、社労士との
会話の風景をご覧ください。
社労士 社長、ここ大阪では緊急事態宣言もやっと解除されましたね。
お店のお客さんの入りはいかがですか?
社長 先生、宣言中はかなり減っていましたが、解除後は営業時間も
延びたので少しずつ戻っています。
まだまだ本調子ではないですが、よくなっていってほしいですわ。
社労士 それはよかったです。
まだまだコロナは心配ですが、感染予防に気をつけながらも
もっとお客さん戻ってきてほしいところですね。
社長 本当にそうです。
ところで、今日は先生に相談がありまして・・・
実は、残業代の計算について、スタッフよりクレームがあったんです。
社労士 あら、どのようなクレームで?
社長 うちは創業時から、毎日残業は10分単位ということにしています。
たとえば、21時までの勤務予定だったとして、
21:09退勤の場合は残業代はつけず、
21:11退勤の場合は10分つける、というような感じです。
ところが、スタッフのAくんが、その計算は違法でおかしいと
言ってきたのです。
いままで誰もそんなこと言ってこなかったのにびっくりしましたわ。
社労士 社長、ということは、現状残業は10分単位で、
10分未満は切り捨てるという計算をされているのですね。
社長 そうです!
計算するときもそのほうが簡単だし、10分未満なんか知れた額でしょう。
社労士 社長、残業代の計算は、毎日1分単位でしなければなりません。
10分未満を切り捨てて計算するというのは法違反になりますよ。
社長 え!そうなんですか?
以前、どこかで30分までは切り捨て可能と聞いたのですが・・・
社労士 それは、1か月での合計時間についてですね。
1分単位で計算した残業時間の1か月の合計について、30分未満は切り捨て、
30分以上は切り上げにしてよいと、いうものだと思います。
1日ごとではそのような処理は認めれられていませんので、
1分単位で計算しなければなりません。
社長 Aくんの言ってることは正しかったんですね・・・。
法違反はダメなので、これからは1分単位で計算するようにします。
でも、忙しい月末に手間がかなり増えるな・・・
社労士 社長、我々社労士事務所は、給与計算業務も引き受けていますよ。
面倒な給与計算を専門家に任せて、社長は本来すべきことに
注力されてはいかがでしょうか。
社長 なるほど、そうですね!
細かい計算はもともと苦手だったので、そこから解放されると
ストレスも減りますし、もっと有意義に時間を使えますね。
先生、ぜひお願いします!
社労士 はい、お任せください!
いかがでしたでしょうか。
タイムカードから時間を拾って計算するのはかなり面倒ですが、
法違反とならないためにも、必ず毎日1分単位で計算をして
いただきたいものです。
このような誤った計算を長期間行っていると、後々従業員から
残業代の一部未払い分として請求されるリスクもあります。
1日当たりは少額であっても、人数や期間が積み重なれば
相当の額になる恐れもあります。
ぜひこの機会に適法な計算方法に切り替えましょう。
なお、タイムカードには時間の集計機能の付いた機器もありますし、
最近ではもっと進んだ勤怠管理システムが比較的安価で
利用できる場合もあります。
今後働き方が変わっていくにあたり、旧来の勤務時間管理方法を見直し、
一足先を行く勤怠管理を進めていくことも考えてみてよいのでは
ないでしょうか。
我々社労士は「働き方の専門家」として、勤怠管理システムの導入・運用に
関する企業の皆様からのご相談にも対応しております。
ぜひお気軽にご相談ください。