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介護事業所等の労災 腰痛編その②
こんにちは☺
社会保険労務士法人アシスト 大阪オフィスの筏です!
寒い日が続いたかと思えば、暖かい日がきてまた寒い日が来る・・・
まさに三寒四温ですね。季節の変わり目ということもあり体調を崩しやすい時期ですので、
コロナ対策や、風邪には十分に気を付けたいものですね。
前回のブログでは、介護職員が腰痛を訴えた場合に労災申請が可能か?ということついてお話しました。
今回は、介護職員の腰痛の労災申請について具体的な事例についてご説明いたします。
腰痛の労災基準は二種類に分けられています。
●腰痛の労災基準
①災害性の原因による腰痛
②災害性の原因によらない腰痛
それでは①と②の具体例を見ていきましょう。
① 災害性の原因による腰痛
具体例1) 重量物の運搬作業中に転倒した場合や、重量物を2人で担いで運搬する最中にそのうちの1人が滑って肩から荷をはずした場合のように、突然の出来事により急激な強い力が腰にかかったことにより生じた腰痛
⇒移乗介助の際に患者が暴れ、支えようとした際腰に大きな負担がかり生じた腰痛等がこれに該当します。
具体例2) 持ち上げる重量物が予想に反して、重かったり、逆に軽かったりする場合や、不適当な姿勢で重量物を持ち上げた場合のように、突発的で急激な強い力が腰に以上に作用したことにより生じた腰痛
⇒患者のベッドの高さが自分に合っていない状態のまま移乗介助を行った際、不適当な姿勢で患者を抱えた為に生じた腰痛
なお、俗にいわれる「ぎっくり腰」は日常的な動作の中で生じるので、
業務中に生じたとしても労災申請の対象とはなりません。ですが、発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用あった場合は、労災申請の対象であると認められる場合があります。
② 災害性の原因によらない腰痛
⑴ 筋肉等の疲労を原因とした腰痛
次のような業務に比較的短期間(約3カ月以上)従事したことによる筋肉等の疲労を原因として発症した腰痛は労災申請の対象となります。
1⃣約20キロ以上の重量物又は重量の異なる物品を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務
2⃣毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務
3⃣長時間立ち上がることができず、同日に姿勢を持続して行う業務
4⃣腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務
介護職員に多いのは1⃣です。一日の業務の中で何度も患者の移乗を行う為に腰部の疲労が蓄積し、結果的に腰痛が生じることが多くあります。
⑵ 骨の変化を原因とした腰痛
次のような重量物を取り扱う業務に相当長時間(約10年以上)にわたり継続して従事したことによる骨の変化を原因として発症した腰痛は、労災補償の対象となります。
1⃣約30キロ以上の重量物を、労働時間の3分の1程度以上に及んで取り扱う業務
2⃣約20キロ以上の重量物を、労働時間の半分程度以上に及んで取り扱う業務
腰痛は、加齢による骨の変化によって生じることが多いため、骨の変化を原因とした腰痛が労災申請の対象と認められるには、その変化が「通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合」に限られます。
参考資料:厚生労働省作成資料https://jsite.mhlw.go.jp/sagaroudoukyoku/content/contents/000468676.pdf
次回は労災補償の対象となる治療の範囲や、介護職員を雇用する際の健康状況の確認とうについてご説明いたします。