日常
伊藤若冲の眼差し
こんにちは。
大阪オフィスの近藤です。
自粛要請により休館が続いていた映画館や美術館の営業再開。
待ちに待った日がやってきたなと思う反面、
府県をまたぐ移動に足を踏み出せずにいました。
高齢で病歴のある両親への感染リスクを高めない。
それが、私にとって一番重要だったからです。
そんな時、地下鉄の駅で目にした
京都国立博物館で開催される「皇室の至宝展」(~11/23)のポスター。
伊藤若冲の絵に惹かれ、足が止まりました。
江戸期に京都で活躍した伊藤若冲は、
テレビで初めて「樹花鳥獣図屏風」を見て以来、私の大好きな絵師の一人。
2016年、生誕300年記念に東京で開催された「若冲展」では、
実物のもつ迫力に圧倒され、しばらくその余韻から抜け出すことができませんでした。
今回展示される「動植綵絵」は、滅多に公開されない貴重な作品であり、
東京で目の当たりにしたあの日以来、
叶うならもう一度とずっと思っていたものだったのです。
「こんな時でなければ、絶対、行くんだけどな…」
母の診察のため病院に向かう車中、そうつぶやいた私に父が放った言葉。
「我慢することない。行って来たらいい。」
その一言に救われ、若冲に会いに行くと決心できました。
10月某日、待ちに待ったその日。
気がはやる私は、指定された時間よりも前に会場に到着。
すべてが貴重な作品なのですが、どこか気もそぞろ(^^;
待ち望んでいたその絵は、狩野派の作品とともにありました。
最初に心を奪われるのは、その緻密さと鮮やかさ。
「その生命を漏らさず描き切る。」
そんな若冲の情熱が作品一つひとつに溢れ、心が震えました。
伊藤若冲の作品を様々なメディアで目にしますが、
実物でなければ感じることのできないことがたくさんあります。
今回の作品以外、例えば墨絵にも素晴らしい作品があり、
いろんな美術館で見ることができます。
感染が再び広がっている現在、出かけることをお勧めすることはできませんが、
いつか機会がありましたら、是非。
最後に。
このブログを書き起こしながら、ふと思ったこと。
若冲のような眼差しで、いろんなことを見ることができたら、
今まで気づかなかった大切なことに気付けるのかもしれない。
こんな時だからこそ。