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賃金・手当について①
みなさん、こんにちは。
社会保険労務士の山下です。
先月は、同一労働同一賃金に影響を与える最高裁判決がいくつかありました。
中小企業においては、令和3年4月1日から「同一労働同一賃金」が適用されます。
そこで、同一労働同一賃金実現に向けて、賃金や手当について、その性質や特徴などを考察していきたいと思います。
今回は、通勤手当についてです。
そもそも、「手当」は、支給しなければならないというような法律の定めはないため、各企業で名称や金額を事由に決めることができます。
したがって、通勤手当を支給していても、していなくても構いません。
ただし、通勤手当については、一定の額までは非課税となるという所得税法上の取扱いとなるため、その額の根拠を明確にしておく必要があります。
たとえば、
公共交通機関を使って通勤する場合に
「1ヵ月の定期券代に相当する額」としたり、
マイカー通勤の場合に「往復距離×単価×所定労働日数」
として毎月同じ額を支給することができます。
また、実際の出勤日数に応じて支給する形で
「往復交通費×出勤日数」や「往復距離×単価×実際の出勤日数」とすることも可能です。
同一労働同一賃金の観点からすると、通勤手当は「通勤に係る費用を補助する」という目的であるため、正社員には通勤手当はあるけれどもパートタイマーには通勤手当は支給しないというのは不合理であると考えられます。
なお、正社員には月額固定の額とし、出勤日数が少ないパート社員は出勤日数に応じた額とするため、結果として額が異なるというのは、問題ありません。
そして、通勤手当は、割増賃金の計算の基礎となる賃金から除くことができます。
ただし、距離や方法にかかわらず一律の額で支給している場合には、たとえ名称が通勤手当であっても、割増賃金の計算の基礎となる賃金に含めなければなりませんので、注意してくださいね。