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パワハラ防止法(2020年6月施行)について
皆さん、こんにちは。
社会保険労務士の高橋です。
今回は2020年6月に施行(中小企業は2022年4月からの適用となります。)されるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)について解説いたします。
◆パワハラとは
どのような行為がパワハラに該当するのか、この点は非常によく質問をいただきますが、「パワハラ」とは、職場や学校、家庭などの身近な場所で、上司や教師、配偶者や親など「力関係で優位にある者が、「他者に対して精神的・身体的苦痛」を与える行為をいいます。
ただし、客観的にみて、業務上「必要」かつ「相当」な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワーハラスメントには該当しません。
つまり、仕事上で必要な注意や指導を適切に行うことはパワハラに該当しないということです。多少厳しい口調であったとしても「業務上の注意」であれば問題ないと思ってもよいでしょう。
他者に対して、しつこく・くりかえし・不愉快又は威嚇的な態度をとっていないかということがポイントとなりますので、人格を攻撃するような言動は確実にハラスメントに当たると思ってください。
◆職場の範囲
ハラスメントとは、「職場」において発生した事案ですが、この「職場」は本来の仕事を行う場所だけではなく、職務の延長と考えられる場所は「職場」に該当します。
具体的には、出張の移動や参加義務のある親睦会等も職場に該当するといえます。 そのような場所で行われた行為についてもハラスメントにあたる可能性があります。
◆具体的な対策
1.企業の方針等の明確化とその周知・啓発
就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書で、パワハラを行ってはならない旨の方針を規定するなど、パワハラの内容や発生の原因・背景を労働者に周知・啓発する。
2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応する必要な体制整備
相談に対応する担当者をあらかじめ定める。
3.事後の迅速かつ適切な対応
事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認する。
被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を速やかに、かつ適正に行う。 事実が確認できた場合は、行為者に対する措置を適正に行う。
◆ハラスメント相談時の取るべき流れ
1.相談対応、被害申告
2.事実関係の調査・確認(迅速かつ適正な実施)
3.とるべき措置の検討・実施(労災認定基準にも照らした検討)
4.適正な措置の実施、行為者への措置、相談者へのフォロー
5.再発防止策の実施
法的責任 ハラスメントが発生すると 「会社の被害者に対する責任」や「管理監督者の被害者に対する責任」「行為者の会社に対する責任」「会社の法的責任」といった法的な責任があります。
悪質な場合には「企業名の公表」もありますので、注意しておきたいポイントです。 パワハラ対策は会社が理解と関心を深めることが大切です。 具体的に対策を行いたいという場合は是非ともご相談ください。
社会保険労務士 高橋尚文