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働き方改革シリーズ④「多様な働き方への取組み」について
皆さん、こんにちは。
社会保険労務士の高橋です。
「働き方改革」法改正シリーズの4つ目のテーマ「多様な働き方への対応」について解説いたします。
働き方改革関連法の改正により、勤務間インターバル制度導入や他企業との取引にあたって短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないことが事業主の努力義務となりました。
今回は、「勤務間インターバル制度導入」を取り上げたいと思います。
◆勤務間インターバル制度とは
1日の勤務終了後、翌日の出勤までの間に一定時間の休憩時間(インターバル時間)を確保する制度をいいます。この制度の導入により労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。
例えば、始業が9時00分、終業が18時00分の会社で、インターバル時間を11時間に設定したとします。この会社の労働者が23時00分まで業務を行った場合、翌日の勤務開始可能時刻は、終業時刻から11時間が経過した10時00分となります。インターバル時間を確保した結果、始業時刻に食い込んだ1時間については、時差出勤で対応したり、勤務したとみなして賃金を保証するなどの対応を行う必要があります。
インターバル時間を設定するうえでは次のような内容を考慮する必要があります。
①労働者の生活時間
②労働者の睡眠時間
③労働者の通勤時間
④交代勤務等の勤務形態や勤務実態
以上のように、仕事と生活の両立が可能な実効性がある休憩が確保されるよう配慮することが求められています。
◆適用除外
なお、特別な事情が生じた場合などには適用除外とすることも可能です。
適用除外の事由としては次のようなものが考えられます。
①重大なクレーム(品質問題、納入不良等)に対する業務
②納期の逼迫、取引先の事情による納期前倒しに対する業務
③突発的な設備のトラブルに対する業務
④予算、決算、資金調達等の業務
⑤海外事業の現地時間に対応するための電話会議、テレビ会議
⑥災害等避けることのできない事由による臨時の場合など
◆インターバル制度の導入
インターバル制度の導入には次のようなステップがありますが、いずれにおいても労使で話合うことが重要とされています。
【ステップ1】
・制度導入の検討
・会社内での労働時間の把握
【ステップ2】
・実態を踏まえた休憩時間確保の制度設計の検討
【ステップ3】
・試行期間
【ステップ4】
・検討及び見直し(問題点の発掘)
【ステップ5】
・本格稼働(制度化)
インターバル制度の運用を考えると、勤怠管理システムで退勤の際に、翌日の勤務開始可能時刻を表示するなど、システム面での仕組みづくりにより実効性を担保することも検討するとよいでしょう。
いずれにしても適正な労働時間の管理が重要になってきます。
制度導入を検討されている場合は是非ご相談ください。
社会保険労務士 高橋 尚文