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こんなときどうする?⑥「残業代ちゃんと払っているつもりだったけど・・・」
皆様、こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
いよいよ寒さが厳しい季節となりました・・・🌨
風邪などお召しにならぬよう、皆様ご自愛くださいね。
さて、私のほうでは、
「こんなときどうする?」をテーマに、
タイムリーな話題についてわかりやすく問答方式で解説しております。
今回は「残業代ちゃんと払っているつもりだったけど・・・」です。
では、従業員想いの若手社長と、社労士との会話の風景をご覧ください。
社長 先生、うちも売上げが想定以上に増えていて、
今回の決算では利益を上げることができました!
先生のご指導のお陰です。有難うございます!
社労士 いえいえ、社長の日々たゆまぬ努力と、社長についていく
優秀な従業員さんたちの功績ですよ!
社長 本当に、私のような頼りない社長についてきてくれている
従業員達には感謝しきりです。
ここ最近は、受注が増えて、従業員には残業ばっかりお願いし
心苦しいのですが・・・
社労士 きちんと1分単位で残業代も払ってもらえていると、
従業員さんは喜んでましたよ。
残業時間もそれほど多くないし、大丈夫なんじゃないでしょうか。
社長 それならよかった。
ところで、残業代の計算は私がやっているのですが、
残業代の単価は基本給を月の時間数で割ったのに1.25を掛けて
計算するのでよかったですよね?
社労士 基本給以外に何か手当とかついてますか?
社長 基本給以外には、役職手当や資格手当や家族手当や住宅手当を
つけてますね。
社労士 そうなると、基本給だけでなく役職手当と資格手当も含めて
残業単価を計算しないといけませんねー。
社長 えっ!そうなんですか!
私が以前勤めていた会社では、残業代は基本給だけを月の時間数で割って
計算していたのですが・・・
社労士 確かにそのような計算をする会社は少なからずあるようですね。
でも、労働基準法では、割増賃金の算定基礎から除外できる賃金は、
① 家族手当 ② 通勤手当 ③ 別居手当 ④ 子女教育手当 ⑤ 住宅手当 ⑥ 臨時に支払われた賃金 ⑦ 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金 |
の7種に限定されているんです。
そのため、これら以外の役職手当などを含めずに残業代を計算して支払うと、
いわゆる「賃金未払い」として法違反となってしまいます!
社長 それは大変だ!一生懸命働いてくれている従業員たちに申し訳ない(汗)。
先生、どうしたらいいでしょうか?
社労士 社長、従業員さんから指摘を受ける前だったのは幸いでしたね。
正直に計算を間違っていたと話して、過去にさかのぼって不足額を計算しなおし、
次のお給料の時に追加支給するのでいいでしょう。
社長 わかりました!そのようにします。
先生、今後もこんなことがないように、給与計算は先生のところに
お願いしてよろしいでしょうか?
社労士 もちろん、喜んでお受けします!
社長は、これまで給与計算に充てていた時間をぜひ有効活用して
もっともっと売り上げを伸ばしてください!
社長 有難うございます!
売上げをもっと伸ばして従業員にもっと還元しますね!
いかがでしたでしょうか?
残業代の計算は複雑でわかりにくいところがありますよね。
特に、計算の基礎に含める賃金についての誤解はたくさんあるようです。
ちなみに、前述の7種の除外できる賃金に含まれていても、
実質的に別の性格の場合は除外できません(残業単価に含める必要がある)
のでご注意ください。
たとえば、「家族手当」と言いながら、家族がいない従業員に対しても
支給する場合などが該当します。
従業員の生活に直結し、ミスが社長への信頼を損なうこともある給与計算。
専門家である社会保険労務士へ委託することでミスを防止し安心につながります。
もちろん弊社も給与計算をお受けしていますので、
この機会に是非ご検討くださいね!