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こんなときどうする?④「やってはいけない!労災隠し」
皆様、こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
さて、私のほうでは、
「こんなときどうする?」をテーマに、
タイムリーな話題についてわかりやすく問答方式で解説しております。
今回は「やってはいけない!労災隠し」をテーマに、
労災事故発生を隠したい社長と、
それをたしなめる社労士のやり取りをご覧ください。
社長 先生、実は先日、従業員のNさんが事務所で転倒して
骨折しまして。
もう2週間ほど入院してます。
重要な戦力なので業務がキツイですね・・・
社労士 社長、それは大変ですね。
Nさんは仕事がとてもできますからね・・・。
ところで、Nさんはどのような状況で転倒されたのですか?
社長 なんでも、棚の上においてある備品を取るのに、
脚立を使わずにイスに乗って取ろうとして、
イスが動いて転倒したようです。
まあ、本人は自分の不注意で転倒したので、
自分の健康保険証を使って治療を受けるといってますので
とても助かりました(笑)
労災とかになったら面倒だったので・・・
社労士 社長、今お聞きした状況だと、
おそらく労災(以下「業務災害」の意味で使います。)に
該当するかと思いますが・・・。
私のほうで労災の手続きをしましょうか?
社長 えっ?本人が労災じゃなくていいと言ってますが、
労災使わないといけませんか?
労災使ったら保険料が上がるとか、
監督署からお叱りを受けるとか、
いろいろ大変だと聞いたので、できたら使いたくないんですが・・・
社労士 社長、労災に該当するときは、労災保険を使わなくては
いけませんよ。
従業員がどの保険を使うか選ぶようなことはできません。
従業員の不注意であっても同様です。
逆に、労災に該当するときは、健康保険証は使えませんので、
仮に使ってもNさんは健康保険に返金しなければならなくなります。
社長 そうなんですか!それはNさんに申し訳ない・・・。
でも労災は使いたくないので、何とかなりませんかね・・・
社労士 社長、労災を使うことより怖いのは「労災隠し」です。
これまで、労災事故を隠したために労働安全衛生法違反として
最大50万円の罰金刑を受けたケースが多数あります。
この場合は、会社(法人)とあわせて社長自身も処罰を受けることがあり、
マスコミに報道されることもあるので、とても不名誉なことですね。
社長 本当ですか!それは困ります・・・。
せっかく地道な努力で会社の信用を築いてきたのに(涙)
社労士 ですよね。
それと、労災を使ったとしても保険料が上がるとは限りません。
保険料が上がるのは一定の要件に合致したとき
(これをメリット制といいますが細かいので詳細は割愛します。)
だけですので、
今回の件で労災を使ったとしても、おそらく保険料には影響しないと
思いますよ!
社長 それであれば助かります。
でも、役所からの目は厳しくなりますよね・・・
社労士 それはあるかもしれませんが、しっかりと防災対策を立てて、
今後同様の事故が発生しないように注意を払えば、
大きな問題にはなりません。
監督官の方が会社に来るかもしれませんが、
真摯に対応すれば大丈夫です。
そうなったら私も協力しますので安心してください。
社長 分かりました!
へんに隠して罰則を受けるよりは、
堂々と労災を使って、今後の改善を考えたほうがいいですね。
先生、労災の手続きをお願いします!
社労士 承知しました!
いかがでしたか?
労災を使うことに抵抗を持っている社長さんは多いようですが、
怖いのは「労災を使うこと」より「労災を隠すこと」というのは
ぜひ意識してほしいですね。
うまく隠すことよりも、堂々と受け入れて改善を図ることが大切です!
社労士は、労災の発生しないような職場改善のお手伝いも
しておりますので、お気軽にご相談くださいね!