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労働法解釈 解雇②
労働法解釈 解雇②
皆さんこんにちは。社会保険労務士法人アシストの藤武です。
前回は解雇とはなにか。を法的解釈を交えて確認しました。
今回は解雇権について確認していきましょう。
まず、「解雇権」とは誰の権利かという点ですが、これは言うまでもなく、使用者側にある権利です。労働者には退職する権利がある一方で、使用者側には解雇権が存在します。
ただ、一般的に解雇は「悪」とされることが多く、労働基準法にも解雇についての制限がルール化されているため、あたかも、解雇はしてはならないものと受け取られがちです。
前回も確認したように、民法第627条第1項では、解雇の自由が規定されています。これは、契約当事者として一般法でみた場合、平等に与えられた権利と言えます。
つまり先にも書いたように、労働者には退職権があり、使用者には解雇権があるという理屈です。ただし、実態として労働という契約行為において、経済的な弱者とされる労働者保護の観点から、労働基準法において大きく修正され、さらに判例法理により使用者は簡単には解雇ができないという現実が存在します。
ただし、あくまでも解雇権が存在するかという法的な見方をしてみると、労働契約法第16条「解雇権の濫用禁止」すなわち「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする。」としています。また労働基準法第19条「解雇制限」及び第20条「解雇予告等の義務」においては、解雇をしてはならない期間と解雇をする場合の解雇予告する旨を規定しています。
つまりこれは、反対解釈をすれば、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められ、解雇制限期間中の者でないものを解雇予告期間を設けることにより、「解雇はできる」ということになります。
もちろん我々社労士は、解雇をするという場合には企業にとって大きなリスクを伴うことを経営者に伝えながら、慎重に進めてゆきます。
ただ、企業にとって秩序を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼすような労働者を雇用しておくわけにはいきません。
企業側が他に法令違反などをしていれば様々な面で弱くなっていきます。企業が法令順守をすることは、そのような労働者に対抗し得る大きな力となることも是非ご理解いただきたいところです。
次回は、「就業規則上の解雇事由記載の必要性」についてお伝えします。