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40年ぶりの労働基準法の大改正の方向性
皆さんこんにちは。社労士の藤武です。
労働基準法は1985年から40年ぶりの大改正に向けて議論されています。
このブログでは、現在の議論の方向性についてお伝えします。
なお、改正時期や改正が反映されるかどうかは現段階ではなんとも言えません。
ただ、国がこのような議論をしているということをご承知おきください。
いくつか検討されている内容がありますが、多様化する働き方について、現在の労働基準法では対応できていないこと、そしてそれに対応するために法整備が進むと複雑でわかりづらい法制となっていくため、シンプルで実効性のあるものにしようとしています。
その中で改正等の議論について2つの視点に基づいて検討されています。
・全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を目指すということ
・ 働く人の求める働き方の多様な希望に応えることのできる制度を整備すること(様々な働き方に対応した規制)
そしてそれらをさらに次の4本の柱で検討しているとしています。
1.労働基準法における労働者について
2.労働基準法における事業について
3.労使コミュニケーションのあり方について
4.労働時間法制の具体的課題について
ではそれぞれに、簡単に解説していきます。
1.労働基準法における労働者について
労働基準法による「労働者」の定義は1985年に判断基準が示されてから40年が経過し、経済社会は大きく変化する中で、労働者性判断の分かりにくさが増えています。多様な働き方が増えていることから、新しい働き方への対応を含めて、労働者性判断ができるようにしなければならないということです。
具体事例では、家事使用人は、現在労働基準法の適用を除外されていますが、実質的には家事代行サービス事業者に雇用されているものと変わらなくなっていることから、労働基準法の適用除外について議論すべきとしています。ただ、一方でこれらを適用した場合には使用者は私家庭であり、私家庭に使用者責任を負わせることに対しては慎重な検討が必要です。
一例として挙げましたが、40年経過することで法律の制度設計の検討が必要であることがわかります。
2.労働基準法における事業について
近年は場所にとらわれない働き方も拡大してきています。
また、技術の進展により労務管理を一括でできることが多くなっています。事業の概念をどう捉えるか検討が必要だとしています。
3.労使コミュニケーションのあり方について
労使コミュニケーションの中心は労働組合であることを念頭においた上での議論がされています。
しかし労働基準法では、労働組合のない事業場においては、労使協定等の締結を含めては労働者の過半数代表者の設置を求めています。これについて、労働者代表が適正に選出されないケースがあることや、その役割を果たす労働者の負担があることが課題としています。
議論の中では以下のようなことが挙げられています。
①過半数代表者の選出について、どのような労使協定に関するものであり、その内容を使用者が明らかにすべきこと
②労働者代表が役割を全うするために、事業場の実態を情報提供(労働者名簿や当該協定の影響を受ける労働者が誰であるかという情報)するべきこと
③専門家による過半数労働者への相談支援
④過半数労働者を複数選出する選択肢
⑤過半数労働者の任期の設置
4.労働時間法制の具体的課題について
働き方改革関連法の施行から5年が経過しており、導入した制度の施行状況を踏まえつつ、働き方改革関連法では対象とされなかった部分を含めた制度研究が必要であると議論しています。
具体的なものの一つには、テレワーク等が発展してきている中で、柔軟な労働時間管理が必要であるとして、フレックスタイム制やみなし労働時間制度の拡充を挙げています。
フレックスタイム制では、コアタイムという制度がありますが、コアデイ(特定の日について始業と終業時刻を使用者が決定する制度)など新しい概念も検討されています。これによりテレワーク日と通常勤務日が混在する場合にもフレックスタイム制を導入できるようにすることが考えられます。
また、その他労働基準法では、労働者数が10人未満の一定の事業では、週の労働時間を44時間とする特例措置が設けられていますが、8割の事業場がこの特例措置を使っていない現状とし、特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべきと考えています。
最初にも書きましたが、まだまだ検討・議論の段階であり、どの議論がより先に進んでいくのかは不明ですが、4の労働時間法制の議論の中では、13日を超える連続勤務を禁止する規定などがあり、これらは早晩法改正に進んでいきます。
また議論の内容などの解像度が上がってきましたら、より詳細に今後紹介してまいります。
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