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退職について②
皆さん、こんにちは!
社会保険労務士の吉田です。2023年も半月ほどとなりました。暖冬で温かくなったり、寒くなったり服装の選び方は難しいですが、年内もあと少し、体調管理に気をつけて過ごしていきましょう。
さて、前回は「退職の効果」について取り上げました。
今回は「退職と労働契約・就業規則の関係」について取り上げていきます。
労働者からの退職の申し入れの方法は、労働基準法に規定がありません。就業規則に退職の申し入れの規定があるときには、原則として就業規則の規定によります。就業規則に「退職願は書面で」と規定されている場合は、口頭による退職の意思表示の段階では、「退職者として取り扱われないことを保障」されていると考えられます。
ただし、口頭だけの退職の意思表示であっても、本人の退職の意思が固いと判断できる場合、会社側が退職として処理することも可能です。
逆に、本人自筆の退職願が提出されていても、それが本人の錯誤によって書かれた場合であったり、使用者からの強迫によるものであった場合は、取り消すこともできるとされています。
さらに、退職願は本人が作成するのが原則ですが、本人が作成できない場合、本人が直接作成したものでなくても、本人に真に退職意思があり、その意思を踏まえて別の者が作成したということであれば、問題はないとされています。
就業規則に何の規定もないときには、民法第627条によることになります。
口頭による申し出であっても、退職の届け出として取り扱うことが可能なわけですから、電子メールによる退職の届け出も有効です。
ただし、電子メールの場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
第1には、効力発生の時期で、相手側へはメールが到着しているにもかかわらず、現実には相手がそれを読まずにいるという場合があり、退職の場合に限らず、このことがしばしば労使間のトラブルの原因になります。
第2は、電子媒体の特性として、その内容の書き換えや、メールおよび着信履歴の完全な削除が可能であるということです。
第3に、電子メールでは、発信者側が、現実に相手方がその内容を了知しているかどうか、確認するすべがないということです。
こうしたことを考えると、後日の「言った言わない」というトラブルを避けるためには、退職の意思表示は書面を直接上司に手渡しさせるのが好ましいといえます。
なお、退職届とは異なり、会社からの「解雇通知」は書面で出さなくてはいけません。
次回は退職の撤回についてお伝えします。