業務ブログ
こんなときどうする!?⑰「えっ、固定残業代払ってるのに!」
皆様、こんにちは!
社会保険労務士法人アシストの西村です。
朝晩冷え込む日も多くなり、いよいよ冬が間近に訪れてきました。
これからどんどん寒さが厳しくなりますね。
新型コロナ感染はいくぶん落ち着いたものの、予断を許さない状況です。
しっかりと感染予防をしつつ、風邪など召されないよう
体調管理には充分お気を付けくださいね。
さて、私のほうでは、「こんなときどうする?」をテーマに、
タイムリーな話題についてわかりやすく問答方式で解説しております。
今回は「えっ、固定残業代払ってるのに!」です。
従業員に固定残業代を支払っている飲食店経営の社長と、
社労士の会話風景をご覧ください。
社労士 社長、コロナも落ち着き、お店もかなり盛況のようですね!
社長 先生、有難うございます!
時短営業も終わって、たくさんのお客さんが遅くまで来てくれているので、
とても賑わっています。
スタッフたちも久しぶりにみんな顔を合わせて楽しく元気に
張り切ってくれていますよ。
社労士 社長のところのスタッフさんは皆さん楽しそうに働いてますね。
社長が働きやすい環境づくりに力を尽くされてましたからね。
社長 はい、従業員が気持ちよく働くことが、会社の発展につながると信じています。
ですので、それを第一に考えて働きやすい環境を作れたと思います。
社労士 とても素晴らしいことですね!
ところで、営業時間も伸びたのであれば、従業員さんの残業も増えたのでは
ないでしょうか?
皆さんの勤務時間はどんな状況ですか?
社長 はい、お陰様で大繁盛しているので、スタッフの残業も
かなり多くなっています。
たとえば正社員のA君は、先月は毎日2~3時間は残業してくれたみたいです。
社労士 なるほど・・・残業代のほうは支給されていますよね。
社長 はい、うちは正社員には「固定残業制」をとっているので、
固定残業手当として30,000円支給しています。
ですので、大丈夫だと思います。
社労士 そうなんですね。一度、明細を見せてもらっていいですか。
給与明細 2021年10月 A様 通常労働時間 171時間 残業時間 46時間 基本給 200,000円 固定残業手当 30,000円 |
社労士 うーん、社長・・・
これでは足りないですねー
追加で残業代を支払う必要がありますよ。
社長 えっ、本当ですか!
固定残業手当を30,000円も払っているので問題ないと思っていましたが。
社労士 固定残業制にすること自体は問題ありません。
ただし、その場合は、「何時間の残業分」がそれでカバーされているかを
雇用契約書等でしっかりと明示する必要があります。
社長 そうだったんですか・・・
私が独立前に働いていた店舗ではこのやり方でして、残業いくらやっても
固定だから問題ない、と言われていたので。
とんでもない話でしたね・・・・
それで、何時間までならこの固定残業手当でカバーできるのでしょうか?
社労士 ちょと計算してみますね。
(年間平均の月間所定労働時間を171時間とします。)
200,000円÷171時間≒1,169,6円・・・いわゆる時間単価 1,169,6円×1.25≒1,462円・・・残業代の単価(25%割増) 30,000円÷1,462円≒20.52 |
社労士 上記より、Aさんの場合は、30,000円の固定残業手当なら、
約20.5時間分となります。
10月は46時間残業しているようなので、残業代が25.5時間分不足していますね。
およそ37,281円になると思います(👈25.5×1,462円)。
社長 そんなに足りないのですか!・・・
これは私の勉強不足でした。A君に申し訳ない・・・
もちろん払いますし、他のスタッフの給与もさかのぼって全部見直します。
社労士 それがよいと思いますね。
社長が誠意をもって伝えれば、スタッフさんは理解してくれますよ。
社長 教えていただいて有難うございます。気づけて良かったです。
これからこんなミスをしないように、今後は先生のところに
給与計算をお任せできますでしょうか。
社労士 もちろん、私ども社労士は給与計算のプロですので、
間違いがないようにしっかりと計算させていただきますよ。
社長 ぜひ、宜しくお願いします!
いかがでしたか。
固定残業手当さえ払っていればいくら残業させてもかまわない、
と誤解している社長さんは残念ながらまだまだたくさんいるようです。
また、そもそも固定残業手当の計算を誤っているケースもよくあります。
社員のことをとても大事に思っている今回の社長のような方でも、
間違えてしますことはあるのですから、
いま一度自社の給与の計算方法に問題がないか見直す必要があるかもしれませんね。
私たち社労士にお任せいただけば、給与計算のミスを防ぐことができ、
また社長は煩わしい給与計算から解放され、本来の仕事にもっと力を入れて
いただくことができます。
あなたの会社の給与計算が正しいかのご相談にも応じております。
是非お気軽に、社労士までお声がけくださいね。