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賞与・手当について②

みなさん、こんにちは!

社会保険労務士の山下です。

 

中小企業の「同一労働同一賃金」の実現に向けて、賃金や手当について、その性質や特徴などを考察していくシリーズ第2弾として、今回は賞与について取り上げます。

 

「賞与」の支給については法令上の定めはありません。したがって、賞与の支給の有無、回数、金額は自由に決めることができます。

 

賞与の支給目的は、それぞれの企業で異なりますが、その支給目的によっては、正社員とパート・アルバイトで異なる取扱いをすることが「同一労働同一賃金」に反する可能性があります。

 

たとえば、賞与は利益を貢献度に応じて分配するという目的であって、正社員にだけ支給をしているという場合、パートやアルバイトが貢献しているのに支給されないということは不合理な待遇差となる可能性が高いです。パートやアルバイトにも貢献度に応じた額を支給することが望ましいでしょう。

 

一方、同じく貢献度に応じて分配する目的である場合に、非定型業務を行い、かつノルマのある正社員には0~4ヵ月分、定型業務のみを行いノルマの無いパート社員には一律1ヵ月分というように差をつけることは、貢献度に応じた差であると考えられます。

 

賞与については、大阪医科薬科大学事件の最高裁判決において「アルバイトに賞与がないことは不合理であるとまで評価することができるものではない」とされました。

 

ただし、だからといって、アルバイトやパートに賞与を支払わなくてもよいということではありません。

 

このケースにおいては、正職員とアルバイトの職務の内容に大きな違いがあり、かつ、賞与の目的が「正職員が長期にわたり継続して就労し,又は将来にわたって継続して就労することが期待されることに照らし,正職員の生活保障を図るとともに,その雇用を維持し確保すること」であったこと、さらに正社員に転換できる制度があって実際に試験に合格して正社員になった方も一定数いたことなどの事情を総合的に判断した結果、アルバイトに対する賞与がなくてもよいとなったにすぎません。

 

さまざまなケースがありますので、この判決の結論だけを見て「アルバイトに賞与は不要」と考えることはできません。自社の社員の職務の内容の違い、支給目的、その他の事情によっては、不合理と判断されることもありますので、注意が必要です。

 

賞与は働く人にとってとても嬉しく、モチベーションが上がるものです。

賞与の目的、待遇差の合理性を確認して同一労働同一賃金に備えてくださいね!

 

あっという間に年末となり、残すところあと少しですね。本年も大変お世話になり、ありがとうございました。

2020年はコロナによる大打撃を受け、生活様式も変化をせざるを得ない大変な1年でした。1日も早いコロナの終息と、来る年が皆さまにとって素晴らしい1年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

 


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