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こんなときどうする!?⑫「試用期間満了でも解雇予告っているの?」
皆様、こんにちは!社会保険労務士法人アシストの西村です。
徐々に寒くなりつつある中、新型コロナウイルスの感染が増加傾向で
気がかりですね。
うがい、石鹸での手洗い、換気の徹底など、身近でできる感染防止対策は
たくさんありますので、一人ひとりの心がけで感染に歯止めをかけたい
ものです。
さて、私のほうでは、
「こんなときどうする?」をテーマに、
タイムリーな話題についてわかりやすく問答方式で解説しております。
今回は「試用期間満了でも解雇予告っているの!?」です。
新入社員を採用した企業の社長と、社労士との
会話の風景をご覧ください。
社労士 社長、9月に採用したAさんはその後いかがですか?
社長 先生!ちょうどその事で話があったんですわ。
A君ですが、ちょっとあきまへんでしたわ。
毎日のように遅刻、無断での欠勤も度々あり、仕事をなんぼ教えても
覚えようとせず、ミスしても全く反省もしまへん・・・
面接のときはやる気ありそうだったけど、ちょっと無理でしたわ。
社労士 そうなんですね。
久々の若手ということで社長も期待されていたのに、残念ですね。
社長 Bさんが毎日付きっ切りで一生懸命仕事教えて、いろんな研修も
受けさせたんですが、本人がやる気なかったらどうにもなりません。
私自ら何度も指導したんですが・・・。
それで、A君との雇用契約には「3ヵ月の試用期間」があり、
その満了するのがちょうど11月末なので、本採用せず辞めてもらうことに
しますわ。
社労士 そうですか・・・
試用期間満了時の解雇は、通常時より広く解雇の自由が認められていますので、
このような事情なら解雇することは致し方ないと思います。
社長 はい。残念ですが11月末で退職処理をお願いします。
社労士 ところで、Aさんには解雇する旨は伝えましたか?
社長 いえ、試用期間が満了する日に、本採用しないと伝えようと思ってまして。
解雇を伝えてからもしばらく働いてもらうのは何か気まずいので・・・
社労士 社長、試用期間満了時であっても解雇予告は必要ですよ。
解雇の30日前までに予告をするか、しないのならば30日分以上の
解雇予告手当を支払わなければなりません。
社長 えっ!そうなんですか。
てっきり、試用期間が終わってから本採用しなくても特に何もいらないと
思ってましたが・・・
社労士 試用期間であっても、雇用されていることに違いはありません。
Aさんは、9月1日からの(期間の定めのない)雇用契約であって、
試用期間はあくまで(その雇用の中での)解雇しやすい期間に過ぎません。
一定の例外を除き、たとえ試用期間での解雇であっても、通常と同様に
解雇予告の義務はあります。
社長 なるほど、わかりました。
よく考えれば、突然「明日から来なくていい」っていうのもA君には気の毒ですね。
さっそく今日解雇する旨を伝え、30日に足りない分は予告手当を支払うようにします。
社労士 社長、ぜひそうしてください!
Aさんは御社に合わなかったですが、まだ若いですので、新天地での活躍を
祈りましょう。
それと、もし代わりに新人を採用するのならば、もっとしっかりと見極める
必要がありますね。
社長 はい、
これからは採用の時はしっかりと見極めて、よい人材を採用するようにします!
その後、社長はAさんに解雇予告をし、Aさんは快く受け入れてくれました。
そして、社労士の支援を受けて採用の方法を見直し、優秀な人材の獲得に
成功したそうです。
いかがでしたか。試用期間満了で退職してもらうのはあくまで解雇であり、
通常と同様に解雇予告が必要というのは結構ご存じない経営者の方も多いようです。
また、試用期間であっても決して自由に解雇できるものではありません。
通常時よりも解雇のハードルが低いだけとお考え下さい。
この事例のようなことを防ぐためには、採用時の人材の見極めがとても
重要になりますね。
私たち社労士は、採用時の支援ももちろん行っております。
採用についてお困りの時は、ぜひ社労士に相談してくださいね。