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テレワーク規程の必要性
皆さん、こんにちは。
社会保険労務士の高橋です。
働き方改革の有力な手段として注目を集め、政府も推進してきた「テレワーク」ですが、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、その導入を始めている企業も多いのではないでしょうか。
このテレワークを導入するにあたっては、対象とする従業員や利用方法、業務に必要となる機器をどうするのかなどの新たなルールづくりが必要になるため、原則として就業規則の変更が必要になります。
変更の可能性がある就業規則の必要記載事項は下記の通りです。
・労働時間(始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇)
・賃金関係(賃金の決定、計算及び支払の方法)
・費用負担(労働者に作業用品その他の負担をさせることに関する事項)
上記以外にも、次の項目についても規定を設ける必要があります。
・テレワークの対象者
就業規則に規定する対象者は、実際にテレワークを行う者やテレワークをする可能性がある人すべてです。たとえば、「対象者については、テレワークを希望する者であり、かつ、勤続年数の要件(1年以上など)を満たし、自宅の執務環境・セキュリティ環境などが適正と認められる者とする」など対象者を明確に限定する規定が必要です。
また、コロナ禍のような緊急時の対策として、感染症の拡大や災害発生時などには全従業員にテレワークを命じることができる旨の規定を設けておくという方法もあります。
・利用申請
テレワークの利用については、テレワークを前提とした従業員や、感染症の拡大時などに会社がテレワークを命じた場合でない限り、許可制とすることが一般的です。
たとえば、テレワークを利用する日の一定期間(1週間や2週間など)前までに所属長に申請し、許可を受けることとするなど、利用申請の方法を明確にしておくことが必要です。
・通勤手当
テレワークが多くなる従業員については、通勤定期代ではなく、実際に出社した日数分の交通費を支給した方が経費削減につながることもあります。たとえば、テレワークの利用が週に2日までの従業員については、通勤定期代を支給し、週に3日以上の従業員については、実際に出社した日数分の交通費(実費)を支給するような規定を設けることもできます。
・機器の貸与・費用負担
テレワーク勤務者にどのような機器(パソコンやスマートフォンなど)を貸与するのか、また、テレワークを進めるにあたって必要となる費用(通信費や消耗品費など)の負担割合も明確にしておく必要があります。費用の負担割合については企業によって様々ですが、一般的には自宅のインターネット回線を利用させる場合の通信費(一定割合のみ負担)以外は全額負担としている企業が多いようです。
・業務の開始・終了の報告
通常勤務時の出退勤時刻をタイムカードで記録している場合には、テレワーク時の労働時間をどのように記録するのかを規定しなければなりません。テレワーク時の労働時間の管理方法としては、業務の開始・終了時に、直属の上司などに電話やメールなどで報告させる方法や、クラウド型の勤怠管理システムなどを導入してそのシステムに打刻させる方法がありますが、報告の手間を考えると、新たなシステムの導入が理想的です。
また、テレワーク業務を行う中で個人データを取り扱う場合には、個人情報保護法に求められる措置も講じる必要があります。必要な措置としては、
・テレワーク勤務に就く労働者が情報保護のための対策について、その重要性を理解した上で作業を行えるようにするために必要な教育・研究を実施する
・私生活でも広く普及しているSNS等の外部サービスに関する従業員向けの利用ルール、利用時の留意事項をテレワーク実施に関する取り扱い規定に明示して十分に周知させること
・重要な情報が含まれるデータをオフィス外に極力持ち出さない方法によること
・取り扱う情報の重要度に応じ、テレワーク時にアクセス可能な情報の範囲や従業員の範囲を限定すること
・情報システムと外部ネットワークにセキュリティを施し不正アクセスを遮断すること
ざっくりと記載しましたが、企業内で決めることは多岐に渡ります。
テレワーク規程を作成される際には、是非ご相談ください。
社会保険労務士 高橋 尚文