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雇用契約書と労働条件通知書の違いとは?

 皆さん、こんにちは。
 社会保険労務士の高橋です。

 今回は「雇用契約書」と「労働条件通知書」の違いについて解説します。
 2つの書類について、耳にすることは多いと思いますが、法的な意味合いを知っている方は少ないのではないでしょうか。

 それぞれの書類ですが、「労働条件通知書」とは、雇用契約を結ぶ際に事業主側から労働者に書面で一方的に通知する書類で、「雇用契約書」は、労働者を雇用する時に事業主と労働者の間で双方が合意の下で交わす契約書です。

 この2つの書面の大きな違いとしては、「労働条件通知書」の交付は労働基準法を根拠として義務とされているのに対して、「雇用契約書」は民法を根拠としていて、原則として口約束だけで契約は正式に成立しますので、「雇用契約書」の取り交わしは行わなくでも法律違反にはならないということです。

 もう一つの違いとすれば、違いは「署名捺印の有無」です。どちらも書面に書かれている内容自体はほとんど同じなのですが、雇用契約書は従業員と会社の双方が「この内容に合意しました」と署名や捺印を取り交わすのに対し、労働条件通知書は会社のみが押印して従業員に渡す書面ということになります。

 上記のとおり法的には雇用契約書の作成は不要ではあります。しかし、雇用契約書を作成していない場合、言った言わないといったトラブルにつながる可能性が高くなります。
 また、トラブル発生時に会社側のリスクを減らすためにも、雇用契約書の従業員の住所や氏名の欄は、あらかじめ会社がパソコンで入力するのではなく、本人に直筆で記入してもらうようにしましょう。

 会社が一方的に交付すれば良い労働条件通知書に比べ、雇用契約書では「2部作成する」「署名押印を取り交わす」といったように、何かと手間が増えます。
 なお、雇用契約書を作成すれば、労働基準法で求められている書面による労働条件の明示も自動的に兼ねていますので、「労働条件通知書兼雇用契約書」というタイトルで書面を作成することもできます。
 いずれにしても、労務管理上のリスクを減らすためにも雇用契約書は取り交わしておきましょう。
 

社会保険労務士 高橋 尚文


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